Sky Tradition

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白牙駿華(Shunka-h)が書く小説を中心に掲載しているブログです。

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手掛かりを求めて

小説


 私……ウォレスは、人を動かせるほどの風をがっちりとした男に向けて放った。
 男はタイミング良く飛び、獣に突進していった。右手を引く……鋭い爪が装備されていた。それを遠くから見ていたサフィアが、サクマの剣に当てたような雷を、今度は男の爪に当てた。
「終わりだ」
 男は行き良いよく爪を振った。ビリビリという音と共に、獣の身体が真っ二つに裂かれた。男は奴の身体の一部を踏み台にし、左手に魔力を溜めた。そして……
「エヴィルフレア!」
 獣が一瞬にして赤黒い炎に包まれ、焼失した。サフィアが放った雷の名残が小さくパリパリ鳴っている……。





「……強い」
 風魔法を放った男は、へなへなと地にへたり込んだ。俺は爪をしまい、吹っ飛ばされた男の方へ向かった。小さな獣が鋭い眼で俺を見上げているが、警戒している様子はない。むしろ、長い耳が下がり、訴えるような眼差しを俺に向けている。
 俺は男の身体をゆっくり起こした。
「っぐ……」
 息はある。だが、ぐったりとしている。闇魔法に思いきり当たったダメージはかなり大きいだろう。
 俺は右わき腹を軽く触った。ここに球体が当たったように俺は見えていた。しかし、骨折はしていない。むしろ、少しずつ傷が癒えていっている。ものすごい回復力だ。
「ダーラムの病院まで連れていく。しばらく休んどけ」
 男はうっすらと目を開けた。……深緑色の眼だった。
 俺は男をゆっくり抱えて立ち上がった。風魔法を放った男はまだ座っている。
「お前も相方の鳥さん抱えろ。丘を降りる。……急いで、な」





 ダーラムまで帰ってきた。男はサクマを担いで病院へと急ぐ。私……ウォレスもセルシアを抱いて走っていた。いつの間にか夜になっていた。道は街灯で照らされているが、薄暗い。
 病院はもう、すぐそこだ。
 私たちは駆け込んだ。

 ダーラムの病院は総合病院であるため、獣医もいる。救急だったが、すぐ対応してくれた。サクマもどうにか応急処置をしてもらったようだった。
 よかった……無事に戻ってこれた。
 廊下を出て、サクマが休んでいる病室へ向かう。部屋の出入り口にあの男がいた。
「あ……あの」
「あいつは無事だ。お前の鳥さんは大丈夫なのか?」
「あ、はい、なんとかなりました」
「そうか」
 と、去ろうとしたので、私はあの、と声をかけた。
「助けていただきありがとうございました。あの……あなたはいったい…」
 はぁ、とため息をつかれたが、口を開いた。
「……アルス。国の民からは悪の番人と呼ばれていた」
「…アルスさん、あの……ありがとうございました」
「アルスでいい。……で、奴に何を聞きたかったんだ?」

 私は彼にリリアの事を話した。
「確かに、闇属性の魔物は最近増えたように感じたが、リリアのせいかもしれんな」
「リリアをさらった奴が許せませんね」
「……で、手掛かりが無くなったと」
「……はい。でも、退治したことをガイアさんに報告しに行くつもりです」
「ガイアか。あの人なら何か手掛かりあるんじゃないか?」
「それが、あの丘の魔物だったんです」
 そうか、と低く唸った。
「でも…話せばまた何か得られるだろ」
「そう……ですよね。明日の朝、行ってきます」
 そう言って、私は一礼し、病室の扉を開けた。


 一夜明けて。僕……サクマは、朝の日差しで目が覚めた。
 僕たちは闇魔法を使う魔物に遭遇して、戦って、ウォレスをかばって……それからの記憶が無い。気絶したんだろうな……。
 と、サフィアの横に座っている人に僕は驚いた。丘に向かう前に出会った男の人だ。……なぜここにいるのか、今の僕にはわからない。
「お前の回復力は尋常じゃねえな」
 男は口を開いた。僕は頭をポリポリ掻いた。
 僕が気絶してから、この人とウォレスとサフィアで魔物を倒したらしい。そして、この人が僕を担いで病院まで運んでくれたとか。……すごい。
「あの風使い、俺と入れ違いで出て行った。パブに行くとか言ってたな」
「ガイアさんに報告……かな?」
 ああ、と言いつつ、足を組みかえる。その動きにサフィアが目を覚まし、男の人をじっと見つめた。
「……お前、このへんの人間じゃないよな」
 ドキッとした。
「俺もこのへんの者じゃない。訳あって天空界から降りてきた」
「天空界……」
 あ、僕まだ自己紹介してなかった。
「サクマです。あなたのおっしゃる通り、僕もこのへんの民じゃないですけど」
「……アルスだ。悪の国から来た」





 パブにて。私……ウォレスはガイアと話をしていた。魔物に遭い、倒したこと。アルスという悪の番人に助けてもらったこと。そして、再度手掛かりがほしいとも話した。
「なかなか魔物に情報を聞き出すのは至難の業でしょうね。ですが」
 と、ガイアは水を少し飲んだ。
「ライファス遺跡へ行ってみてはいかがでしょう?あなたの故郷の近くですよ」
 地の国アースを出て、風の国ウィンスへ戻る……。ライファス遺跡に新たな魔物が現れたのか?……とにかく、新たな情報をいただけたんだ。向かわねば。
「戻ってみます。ありがとうございます」
 私は、ガイアにより再び希望を得てパブを後にした。

 ダーラムの大通りで、病院から出てきたサクマとアルスに出会った。サクマの足元にはサフィア。彼と目が合った。と、アルスの後ろから大きな鳥がこちらに向かって飛んできた。セルシアだ。すっかり元気になっていた。
「もう大丈夫なのかい?」
 右腕を差し出すと、軽く羽ばたいてとまった。
「すごくウォレスに会いたがってたよ」
 サクマが歩きながらそう言った。
「で、手掛かりは?」
 サクマの後ろにいたアルスが問う。私はライファス遺跡に向かう事を告げた。
「じゃ、一緒に行こう。僕らもここにいても何だし……、リリアを救わなきゃ」
「あとは、リリアをさらった奴を何とかしないとな」
「二人とも……ありがとうございます」
 私は嬉しくなった半面、申し訳ない気持ちになった。私だけでこの件を解決させようと思っていたのに、雷の剣士サクマと悪の番人アルスに助けてもらうなんて……。いや、詩人ガイアにもお世話になってるか……。
 とにかく、一緒に来てくれることになった。一日も早く彼女を見つけ、救い出さないと。
  • 15:55 
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悪の番人

小説


 ブラインド平原。後ろには雷の召喚獣サフィアを連れた青年サクマ。私……ウォレスは少し焦っていた。
 早くリリアの場所を突き止めて、助けなければ。誰に操られているのだろう?そいつのせいで、彼女は邪悪な魔物を作らされている。そして、町を襲った……。
 襲った魔物は、このブラインド平原の何処かに潜んでいる。奴の動きを止めなければならない。そして、リリアの居場所を……聞く。

 ふと、空を舞っていた鳥がこちらに降りてきた。私の相棒であるセルシアだ。
「どうした、セルシア?何か見つけたのか?」
 私は足を止める。サクマとサフィアも止まった。セルシアは翼をばたつかせて減速し、私の腕にとまった。
『あの丘の上に、巨大な生き物を見つけた』
「……そいつかもしれないね」
 サクマが静かに言った。サフィアも目を細め、コクリとうなずいた。
「よし、じゃあ丘まで急ごう」
 私はセルシアを再び空へ放ち、ブラインド平原を走り出した。少し先に見える丘を目指して。
「あ、待って……」
 あわててサクマが走り出す。





 丘のすぐ近くまで来た。ブラインド平原という名だけあって、周りは黒い霧が立ち込めていて少し見えづらい。
「あの丘か……。霧で見にくいね」
 私の後ろでサクマがつぶやいた。
「どこから登れば、奴に気づかれずにすむんだろう…」
「んー……ここからそのまま行っちゃう?」
「……そうしてみますか」
 私とサクマは歩き始めた。と、その時、サクマの足元にいたサフィアが耳をぴくっ、と動かし、彼のズボンの裾に軽く噛みついた。
「ん?どうした、サフィア?」
 私たちは足を止め、サフィアを見た。サフィアは丘と反対の方向……私たちが歩いてきた方向……をじっと見つめていた。その先には黒い影……、しかし、それほど大きくはない。誰だろう?
「そこにいるのは誰ですか?」
 こんなことを聞くのも変だとは思ったが、少し構えて叫んでみた。少しして、黒い影がだんだん近づいてきた。サクマも構える。サフィアが低く唸る。
「お前たちこそ、ここで何をしている?」
 低い声とともに姿を見せたその人は、背が高く、がっちりとした男だった。黒い髪に、紫色の眼。右手にはナックル。鋭い爪が黒い霧を引き裂きそうな感じだ。
「私たちは……丘の上にいる魔物に用があっているんです。奴に聞き出したいことがあって……」
「簡単に話ができると思うのか?」
「それは……」
「あの魔物を甘く見るな。闇属性の魔物は見たものを容赦なく殺るぞ」
「な……」
 この人は、その魔物に遭ったことがあるのか…?言葉を失う私の代わりに、サクマが口を開いた。
「あの…あなたは何者なんですか?」
「……俺にあまり関わるな。ろくなことが無い」
「え……そんな風には見えないですけど」
 男はふっ、と鼻で笑った。そして振り返り元来た方向へと帰っていく。
「あ……」
 サクマはさらに声をかけようとしたが、できなかった。
 闇属性の魔物は、見たものを容赦なく襲う。手強いのはわかっている、が、話が出来る相手なら……。わずかな望みも簡単に壊れてしまうかもしれない。でも、ダメもとで行くしか。
「……行きましょう、サクマさん」
 茫然と立ちすくんでいたサクマを呼び、私たちは丘へと進んだ。





 丘を歩くことしばし。黒い霧がだんだん濃くなってきていた。奴は近くなのか?
「サクマさん、いますか?」
 私は確認した。
「うん、いるよ。サフィアもいるし。今のところ敵の気配を感じてないっぽい」
「そうですか。ですが……急に霧が濃くなったのは何かありそうな予感がします……」
「…だよね」
 私たちは立ち止まり、構えた。足音が消え、静寂に包まれた。
 じっと耳を澄ます。少し風が吹き、草の揺れる音が妙に大きく聞こえた。風が止み、再び静かになる。無音がしばらく続いた。

 と、サフィアが唸りだした。奴が、今度こそ近くにいそうだ。
「くるよ」
 サクマが剣を手に、構えなおした。瞬間、サフィアが私の前まで走り、稲妻を放った。

 ビリビリ!

 霧を割いた。サフィアがもう一度稲妻を放つ。何かに当たったようだ。
『ぐおぉぉぉ!!』
 その「何か」が姿を現した。ずいぶん大きな獣だ。頭が2つある。片方は稲妻にひるんだのか、目を閉じ唸っている。もう片方は赤い眼を光らせてこちらを睨んでいる。
「でっかい……」
 サクマが呟く。ひるんでいる場合じゃない。
「セルシア!」
 私は「彼女」を呼び、唱えた。
「エアウィンドブロー!」
 セルシアの急降下に合わせて私は風魔法を放った。魔法を受けた鳥は、獣の頭上で大きく羽ばたいた。
 ごぉ、という音と共に、かまいたちが起きた。獣の身体に切り傷がいくつかついた。だが、獣はぐっとこらえているようだ。いや、力を溜めているようにも見える……。
「サフィア!」
 今度はサクマが叫ぶ。サフィアは雷をサクマが手にしている剣に当てる。剣が光り、バチバチと音を立てた。サクマは走り剣を大きく振った。
「おりゃぁぁぁ!!」
 剣は、目を閉じている側の首を切った。
『ぐぎょぉぉぉ!!』
 獣が態勢を崩した。目を閉じた頭が転がった。
「おぉ……」
 自分でやったことに驚くサクマ。私もゾクッとした。あの剣はいったい……?

 しばらく獣は動かなかった。しかし、まだ生きているようで、ぐるるる……と唸っている。丘の大地に奴の血が染み込んでいく。
「ウォレス、聞けるなら今じゃない?」
 私は、はっとした。そうだ、リリアの居場所を聞かなくては。しかし、話が出来る相手なのだろうか?私は悩んだ。
 悩んだのが間違いだった。奴は突然目を開け、残った首を起こし、口を開けた。黒い球体がこちらに向かって飛んできた。
「危ない!」
 私はサクマに突き飛ばされた。球体は彼に当たり、彼は吹っ飛んだ。
「ぅわぁ!」
「サクマさん!」
 サクマは地に叩きつけられた。剣が手から離れてしまった……。獣は素早く起き上がり、態勢を立て直した。そして、すぐ上にいたセルシアに飛びついた。とても素早かった。彼女は避けることが出来なかった。奴の前足がダイレクトに当たり、サクマと同様に地に叩きつけられた。
「なっ……」
 呆気に取られている場合ではない。私は立ち上がり、風魔法を放った。
「エアブロー!」
 奴には当たったが、まるで効いていないようだった。奴はこちらをキッっと睨み、また口を開いた。さっきの球体があっという間に現れ、飛んできた。
 ダメだ、早すぎて避けきれない!

 その時、横から別の黒い物体が飛んできた。それは奴が放った球体に当たり、爆発した。
「あうっ」
 爆風を受け、私は少しだけ吹っ飛ばされた。
「だから言っただろ。闇属性の魔物は見たものを容赦なく殺る、ってな」
 顔を上げると、がっちりとした体格が見えた。
「あ、あなたは……」
 男は左手で私を軽々と持ち上げ、立たせた。少しよろめいた。
「あんたの風魔法で俺を吹き飛ばせるか?」
「……はい、やってみます」

 私は風魔法を唱えた。
  • 00:00 
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運命の始まり

小説


 夜。雨の中、僕……サクマは震えながら歩いていた。
 手には片手で扱える長剣、僕の足元には雷の召喚獣サフィア。歩いてはキリッとした眼で僕の様子を見ている。目が合い、僕は微笑んだ。……大丈夫だよ。
歩くことしばし、明かりを灯す場所が見えてきた。そこはパブだった。明け方まで開いているようだ。僕らは足早にパブに近づき、木目調のドアをゆっくり開けた。

「いらっしゃい」
 パブのマスターと挨拶を交わした。客はいない。……いや、店の奥に一人、カウンター席に座っている。壁にはギターが立てかけられていた。
「雨の中、傘も差さずに歩いていたのかい?」
 カウンター席に座っている人に声をかけられた。サフィアはじっと見つめていた。その人はハットをかぶりなおし、僕を隣に座るよう促した。サフィアは体を震わせて水を飛ばし、僕の足元まで寄って伏せをした。
「マスター、タオルを」
 すみません……。僕は長剣をそばに立て掛けてタオルをもらい、軽く頭を拭いた。その様子をじっと見つめる……ハットの人。
「……君は、ここの民じゃないね」
 どきっとして、思わずハットの人を見た。しばし見つめあう。……なんだろ、この沈黙。
「自己紹介、忘れていたね。私はガイア。世界のパブを拠点に語り歩いているんだ。その国の歴史や言い伝えなんかをね」
 へぇ……。……あ、自己紹介だった。
「僕は……サクマと言います。あの……確かに、僕はここの民ではな……」
「君がどこの民かは、伏せておいたほうがいいよ」

 ……止められた。そう、僕は……エルフ族の生き残り。突然行われた「エルフ狩り」に遭い、僕は里を離れてきた。そして、ここ地の国アースの城下町ダーラムに逃げ込んできた。僕がエルフであることは伏せておかなければならない。どこにエルフハンターがいるかわからないから。
「今日はここで休みなさい。いいよね、マスター?」
 マスターは黙ってうなずいた。……ありがとうございます。
「僕は明日、ウォレスという風使いとここで会う約束をしているんだ。だから、朝ちょっとだけ騒がしいかもしれない」
「あ……それは……大丈夫です」
 ごめんね、と微笑み、座っていた席を僕に譲ってくれた。急に眠気が襲ってきた。カウンター席に腰かけた瞬間、意識が飛んだ。





 夜が明けて。雨は寝ている間に止んだようだ。僕はうーんと伸びをして目をこすった。
「……いって…」
 変な態勢で寝ていたみたいだ。体がバキバキ音を立てた。
「おはよう」
 マスターが片付けをしながら、コーヒーを淹れてくれた。
「ありがとうございます。……ガイアさんはどこへ?」
「彼なら連れと一緒にさっき出て行ったよ。どこへ向かったかわからないけど」
「そうですか……」
 足元でサフィアが伸びをした。
「おはよう、サフィア」
 僕をじっと見て、くぅ、と小さく鳴いた。
 コーヒーを飲みほし、マスターに挨拶をしてパブを出た。これからどこに向かおうか……。
 僕には、探さなければいけない人がいる。……妹のカシェだ。別々の方向に逃げた。固まっていては共倒れになるから。互いに無事ならいいが、仮にカシェが囚われていたら……助けに行かなければ。一刻も早く。

 地の国アースの城下町・ダーラム。いろいろなお店が軒を並べる大通りは人があふれている。腰に長剣を携え、この大通りをゆっくり歩いていた。サフィアは僕より少し先に行き、人々の活気に驚きつつも歩いていた。
 小さな路地に差しかかった時、僕はガイアを見た。誰かと一緒に歩いている。あの人がウォレス?その先には、黒い霧で覆われた丘。なにかあるのだろうか。
「サフィア、こっち」
 先に行っていたサフィアを呼び、小さな路地へと入った。瞬間、静寂。サフィアの足音がトタトタ聞こえる。僕の足音もはっきり聞こえていた。
 僕は後を追った。





「ここに奴がいると?」
 雷の賢者ガイアの傍らで、ある青年が言った。ガイアはゆっくりうなずく。
「リリアの手下は闇の魔法を使う。風魔法では少し厳しいかもしれない。ガイアさん、手を貸してください」
「貸したいのは山々なんだが……生憎私は戦う能力というか、武器を持っていない。『語り屋』だからねぇ……」
「……そうですか」
「私と同じ雷の魔法を使う者なら……近くにいるだろう」
「……え?」
 と、僕を見た。
「あ……その、ガイアさんが見えたからついてきちゃったわけで……」
 焦る僕にガイアが微笑む。
「で……あの、隣にいらっしゃるのが……ウォレスさん?」
「ええ。あなたは?」
「サクマです。僕の足元にいるのがサフィア」
 ウォレスはサフィアを見た。キリッとした眼で見上げた。
「僕が雷の魔法が使えることを、どこで……?」
「サフィアさ。この子は雷の召喚獣だからね」
 さすが、語り歩いているだけあって知っている。
「サクマさん、申し訳ないんですが力を貸してくれませんか?リリアの手下がこの丘に潜んでいるんです。そいつにリリアの居場所を聞き出すつもりです」
「リリアって……誰?」
「闇の魔法を使う魔女です。私も彼女も風の谷エクセレビスの民なんです。何者かにさらわれたと聞き、彼女を助けるために谷を出てきました。彼女は言われるがままに魔物を生み出し、街の住民を襲うのではないかとガイアさんが……」
「事実、この丘……ブラインド平原唯一の丘に巨大な魔物が目撃された。そして、港町オーラルを襲っている」
「え……」
「ダーラムが襲われたらひとたまりもない。ウォレスにそういう話をしたら、リリアの手下かもしれない、と言ってここまで来たんだ。そして、今に至る」
「街が襲われる前に、こちらで食い止めたい。同時に、リリアの居場所を聞き出す。だから……」
「……わかりました、手伝います。お役に立てるといいですが」
「ありがとうございます。では、さっそく向かいましょう。……セルシア!」
 ウォレスの声で、一羽の鳥が舞い降りてきた。鷹ぐらいの大きさで、真白な身体。セルシアと呼ばれた鳥はどこかに停まることなく再び上昇し、先にブラインド平原へと飛び立った。ウォレスはそれを見て黒い霧の中へと歩き出した。
「……行こうか、サフィア」
 サフィアが先に歩きだし、僕は後に続いた。
 ガイアは、彼等の姿が見えなくなると、ふと身を翻し、小さな路地へと引き返した。
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白牙駿華

Author:白牙駿華
某RPG(8から始めた)が大好きな人。

ゆえに、この小説もその影響大なもの。
超スローペース更新ですが、ぜひご覧くださいませ。

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