Sky Tradition

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小説


新たな動き

2011.01.01  *Edit 

 ……ここはどこだろう?身動きが取れない。……どういうことだろう?
 無理やり動いてみると、ロープがこすれる音がギュッ、と小さく鳴った。しかし、動けば動くほどさらに動けなくなる。まるで、蜘蛛の糸のよう……。
 ……蜘蛛?
『おやおや、お目覚めかい』
 はっとして、声の方を向いた。赤と黒の縞模様の身体に、鋭く長い脚が8本。顔は女性の様な顔立ちだが、触角があり、牙もある。
「なんで私をこんな状態にしたの?」
『フフフ……お前がリリア様の妹だそうじゃないか』
「……リリア?!生きているの?」
『でなきゃ私は今、お前と話なんかしてないよ』
「それって……あなたはリリアの魔法によって生まれた、ということ?」
『そういうことさ』
「……で、私をどうするの?」
『フフフ……それはリリア様の元へ連れて行くだけさ。私の使命は、それだけ』
 でも、と一呼吸置いた。一番後ろの脚をくるくる回し始めた。白いものが見える。どうやら蜘蛛の糸を巻いているようだが、何をする気だろう?





 風の国ウィンス。ここは私……ウォレスの故郷である風の谷エクセレビスが主の町となっている。私はサクマとアルスを連れて、この故郷へ帰ってきた。
 ガイアから得た話によると、故郷の近くにあるライファス遺跡に行くと、リリアに関する情報が得られるかもしれない、とのこと。
 遺跡へ行くには、谷を抜けなければならない。というわけで今、エクセレビスの町を歩いていた。正しくは、谷を通過している、だが。
「風が心地よいねー」
 伸びをしながら歩くサクマ。アルスも遠くに見える風景を見ながら歩いていた。
 途中、見なれた家の前を通過した。私の家だ。
「うぉーれーすー!!」
 遠くから一人の民が走ってきた。
「……どうしました?」
 はあ、はあ、と息を整えつつ、民は衝撃的な事を口にした。
「ミスティアが……行方不明に……」

 ミスティア。彼女は「霧の療法士」と言われていて、「霧」を使って人々の外傷を治してきた。私も幼い頃、遊んでいて怪我をした時によく治してくれた。
「その……ミスティアさんがいなくなったのはいつからですか?」
 サクマが代わりに聞いた。民は今朝からいないと返した。さらに、彼女の家が荒らされていたらしい。
「これは拉致されたとしか言えないな」
 アルスが口を開いた。何処へ行ったのかはわからないが、もしかしたらライファス遺跡と何か関係があるのかもしれない。
「サクマさん、アルスさん、遺跡へ急ぎましょう」
「奴の手下がさらった、という可能性が濃厚だしな」
「よし、急ごう。サフィア、行くよ」
 私達は遺跡へ急いだ。





『ん、何か近づいてくるね。お前を助けにでも来たのかね……』
 「蜘蛛」は巻いていた蜘蛛の糸を壁に貼り付け、ごそごそと方向転換し、何処かへ行ってしまった。誰かがこちらに向かってくる。あの様子じゃリリアではなさそう。私を助けに?いったい誰が……?
 私……ミスティアは、昨日の夜にこの「蜘蛛」に襲われ、気絶し、気が付いたらこの状態だった。夜遅くだったから、谷のみんなは眠りについていて誰一人気付いていなかったはず。ひと悶着したから部屋は散らかったままだろうな……。それを誰かが見つけて……。
 この蜘蛛の糸はかなり強力で、少し触れただけでひっつき、なかなか取れない。そんな糸でぐるぐる巻きにされている私。取れるのだろうか……。

 はぁ、と一息ついて、また思いを巡らす。「蜘蛛」に立ち向かえるのは……いや、あの子も強い子だけど……。
 私は首を横に振った。やっぱりだめ。ウォレス、ここに来てはいけない。……なんとかして逃げ出さないと。だけど、リリアの元へ連れて行くのが「蜘蛛」の使命ならば、大人しく連れて行かれてもかまわない。リリアを逆に連れて帰りたいから。





 ライファス遺跡の出入り口に着いた時、俺……アルスは嫌な気配を感じ取った。サクマの足元にいた召喚獣サフィアも感じたらしく、毛を逆立てて小さく唸った。吹く風が生ぬるい。
「サフィアが唸ってる……。気をつけて進もう」
 サクマが長剣を持ち直した時、やはり奴らは現れた。
 ザザッ、と前方から数匹、いや数十匹もの虫が、闇の煙と共に姿を現した。見た感じ、でっかい蜂だ。お尻の針がきらりと光る。
「うわ……すごい多いよ。片っ端から片づけ……」
「サクマさん、ここは一発サフィアの電撃で散らしてみましょう。その隙に駆け抜けてみる!」
「えぇ?!」
 ウォレスは、極力この雑魚との戦いで体力の消耗をしないように考えているようだ。なかなか頭の切れる奴だな。
「ボスは魔女の僕だしな。下手に戦って怪我でもしたら足手まといになる」
 とか言いながら、俺も武器をセットする。
「…そうだね、ここで疲れたら大変だもんね……。よし、じゃぁ一発頼む、サフィア!」
 サフィアは俺たちの前に立ち、蓄電し始めた。パリパリという音が、徐々に大きくなっていく。そして……

『きゅおぉぉぉぉ!!』

 けたたましい音と共に、電流が四方八方に走り回った。蜂たちは避ける間もなく感電し、ぽたぽたと地に落ちていった。しかし、また黒い闇の煙が現れる……。
「急ごう!」
 サクマが駆けだす。ウォレスが続く。俺も走りだすが、煙から再び現れた蜂が俺に向かって飛んできたので、爪で払いのけた。蜂はバラバラになり、地に落ちた。こいつら、かなり脆いな……。
 後ろで再びバリバリと音が鳴った。俺たちは振り返る事もなく、ひたすら走り続けた。

 走り続けてしばし。サクマとウォレスが、目の前にそびえ立つ塔を見上げていた。どうやら遺跡の一部のようだ。しばらくして、サフィアが走ってきた。
「ここ、怪しいよね」
「サクマさん……ここにきて、正直怖くなってきました」
「えっ?」
 おいおい、ここに来て腰ぬけか?ブラインド平原で魔物と戦った時もそうだったな……。
「そんなんじゃ、リリアを見つけられないぞ?その前にミスティアも救えないな」
 俺は喝を入れた。ウォレスははっとして、首を左右に激しく振った。
「そうですね……。私はリリアとミスティアを助けるためにここまで走ってきたんですものね……。すみません、弱音を吐いてしまって」
 ウォレスは一つため息をついた。気合を入れ直したようだ。
「よし、じゃあいくか」
 サクマが塔に向かって歩き始めた瞬間……

『びじゃぁぁぁぁ!!』

「わっ!」
 間一髪、サクマは何かを避けた。その何かは彼の後ろにいたウォレスに当たってしまった。気合を入れ直した直後だったのに……。
 ウォレスに白い何かがくっついた、というか動きを封じられた感じだ。俺は急いで爪で白い何かを切ろうとした。が……
「あっ!」
 切る前にウォレスが塔へと勢いよく引かれ、吸い込まれていった……。
「ウォレス!」
 サクマの叫びもむなしく、彼の姿は一瞬にして消えてしまった。俺は爪を一旦しまい、塔の入り口の横につく。サクマは俺の向かい側について、そっと中をのぞく。サフィアはサクマの足元に行き、じっと耳をすませる。
「……何も見えない」
「そうか。変な音もなさそうだな」
 サフィアが頷く。よし。
「行くぞ」
「はい」
 俺たちは古びた塔の階段を降りて地下へと進んだ。
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