Sky Tradition

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小説


手掛かりを求めて

2010.05.15  *Edit 

 私……ウォレスは、人を動かせるほどの風をがっちりとした男に向けて放った。
 男はタイミング良く飛び、獣に突進していった。右手を引く……鋭い爪が装備されていた。それを遠くから見ていたサフィアが、サクマの剣に当てたような雷を、今度は男の爪に当てた。
「終わりだ」
 男は行き良いよく爪を振った。ビリビリという音と共に、獣の身体が真っ二つに裂かれた。男は奴の身体の一部を踏み台にし、左手に魔力を溜めた。そして……
「エヴィルフレア!」
 獣が一瞬にして赤黒い炎に包まれ、焼失した。サフィアが放った雷の名残が小さくパリパリ鳴っている……。





「……強い」
 風魔法を放った男は、へなへなと地にへたり込んだ。俺は爪をしまい、吹っ飛ばされた男の方へ向かった。小さな獣が鋭い眼で俺を見上げているが、警戒している様子はない。むしろ、長い耳が下がり、訴えるような眼差しを俺に向けている。
 俺は男の身体をゆっくり起こした。
「っぐ……」
 息はある。だが、ぐったりとしている。闇魔法に思いきり当たったダメージはかなり大きいだろう。
 俺は右わき腹を軽く触った。ここに球体が当たったように俺は見えていた。しかし、骨折はしていない。むしろ、少しずつ傷が癒えていっている。ものすごい回復力だ。
「ダーラムの病院まで連れていく。しばらく休んどけ」
 男はうっすらと目を開けた。……深緑色の眼だった。
 俺は男をゆっくり抱えて立ち上がった。風魔法を放った男はまだ座っている。
「お前も相方の鳥さん抱えろ。丘を降りる。……急いで、な」





 ダーラムまで帰ってきた。男はサクマを担いで病院へと急ぐ。私……ウォレスもセルシアを抱いて走っていた。いつの間にか夜になっていた。道は街灯で照らされているが、薄暗い。
 病院はもう、すぐそこだ。
 私たちは駆け込んだ。

 ダーラムの病院は総合病院であるため、獣医もいる。救急だったが、すぐ対応してくれた。サクマもどうにか応急処置をしてもらったようだった。
 よかった……無事に戻ってこれた。
 廊下を出て、サクマが休んでいる病室へ向かう。部屋の出入り口にあの男がいた。
「あ……あの」
「あいつは無事だ。お前の鳥さんは大丈夫なのか?」
「あ、はい、なんとかなりました」
「そうか」
 と、去ろうとしたので、私はあの、と声をかけた。
「助けていただきありがとうございました。あの……あなたはいったい…」
 はぁ、とため息をつかれたが、口を開いた。
「……アルス。国の民からは悪の番人と呼ばれていた」
「…アルスさん、あの……ありがとうございました」
「アルスでいい。……で、奴に何を聞きたかったんだ?」

 私は彼にリリアの事を話した。
「確かに、闇属性の魔物は最近増えたように感じたが、リリアのせいかもしれんな」
「リリアをさらった奴が許せませんね」
「……で、手掛かりが無くなったと」
「……はい。でも、退治したことをガイアさんに報告しに行くつもりです」
「ガイアか。あの人なら何か手掛かりあるんじゃないか?」
「それが、あの丘の魔物だったんです」
 そうか、と低く唸った。
「でも…話せばまた何か得られるだろ」
「そう……ですよね。明日の朝、行ってきます」
 そう言って、私は一礼し、病室の扉を開けた。


 一夜明けて。僕……サクマは、朝の日差しで目が覚めた。
 僕たちは闇魔法を使う魔物に遭遇して、戦って、ウォレスをかばって……それからの記憶が無い。気絶したんだろうな……。
 と、サフィアの横に座っている人に僕は驚いた。丘に向かう前に出会った男の人だ。……なぜここにいるのか、今の僕にはわからない。
「お前の回復力は尋常じゃねえな」
 男は口を開いた。僕は頭をポリポリ掻いた。
 僕が気絶してから、この人とウォレスとサフィアで魔物を倒したらしい。そして、この人が僕を担いで病院まで運んでくれたとか。……すごい。
「あの風使い、俺と入れ違いで出て行った。パブに行くとか言ってたな」
「ガイアさんに報告……かな?」
 ああ、と言いつつ、足を組みかえる。その動きにサフィアが目を覚まし、男の人をじっと見つめた。
「……お前、このへんの人間じゃないよな」
 ドキッとした。
「俺もこのへんの者じゃない。訳あって天空界から降りてきた」
「天空界……」
 あ、僕まだ自己紹介してなかった。
「サクマです。あなたのおっしゃる通り、僕もこのへんの民じゃないですけど」
「……アルスだ。悪の国から来た」





 パブにて。私……ウォレスはガイアと話をしていた。魔物に遭い、倒したこと。アルスという悪の番人に助けてもらったこと。そして、再度手掛かりがほしいとも話した。
「なかなか魔物に情報を聞き出すのは至難の業でしょうね。ですが」
 と、ガイアは水を少し飲んだ。
「ライファス遺跡へ行ってみてはいかがでしょう?あなたの故郷の近くですよ」
 地の国アースを出て、風の国ウィンスへ戻る……。ライファス遺跡に新たな魔物が現れたのか?……とにかく、新たな情報をいただけたんだ。向かわねば。
「戻ってみます。ありがとうございます」
 私は、ガイアにより再び希望を得てパブを後にした。

 ダーラムの大通りで、病院から出てきたサクマとアルスに出会った。サクマの足元にはサフィア。彼と目が合った。と、アルスの後ろから大きな鳥がこちらに向かって飛んできた。セルシアだ。すっかり元気になっていた。
「もう大丈夫なのかい?」
 右腕を差し出すと、軽く羽ばたいてとまった。
「すごくウォレスに会いたがってたよ」
 サクマが歩きながらそう言った。
「で、手掛かりは?」
 サクマの後ろにいたアルスが問う。私はライファス遺跡に向かう事を告げた。
「じゃ、一緒に行こう。僕らもここにいても何だし……、リリアを救わなきゃ」
「あとは、リリアをさらった奴を何とかしないとな」
「二人とも……ありがとうございます」
 私は嬉しくなった半面、申し訳ない気持ちになった。私だけでこの件を解決させようと思っていたのに、雷の剣士サクマと悪の番人アルスに助けてもらうなんて……。いや、詩人ガイアにもお世話になってるか……。
 とにかく、一緒に来てくれることになった。一日も早く彼女を見つけ、救い出さないと。
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