Sky Tradition

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小説


悪の番人

2010.04.07  *Edit 

 ブラインド平原。後ろには雷の召喚獣サフィアを連れた青年サクマ。私……ウォレスは少し焦っていた。
 早くリリアの場所を突き止めて、助けなければ。誰に操られているのだろう?そいつのせいで、彼女は邪悪な魔物を作らされている。そして、町を襲った……。
 襲った魔物は、このブラインド平原の何処かに潜んでいる。奴の動きを止めなければならない。そして、リリアの居場所を……聞く。

 ふと、空を舞っていた鳥がこちらに降りてきた。私の相棒であるセルシアだ。
「どうした、セルシア?何か見つけたのか?」
 私は足を止める。サクマとサフィアも止まった。セルシアは翼をばたつかせて減速し、私の腕にとまった。
『あの丘の上に、巨大な生き物を見つけた』
「……そいつかもしれないね」
 サクマが静かに言った。サフィアも目を細め、コクリとうなずいた。
「よし、じゃあ丘まで急ごう」
 私はセルシアを再び空へ放ち、ブラインド平原を走り出した。少し先に見える丘を目指して。
「あ、待って……」
 あわててサクマが走り出す。





 丘のすぐ近くまで来た。ブラインド平原という名だけあって、周りは黒い霧が立ち込めていて少し見えづらい。
「あの丘か……。霧で見にくいね」
 私の後ろでサクマがつぶやいた。
「どこから登れば、奴に気づかれずにすむんだろう…」
「んー……ここからそのまま行っちゃう?」
「……そうしてみますか」
 私とサクマは歩き始めた。と、その時、サクマの足元にいたサフィアが耳をぴくっ、と動かし、彼のズボンの裾に軽く噛みついた。
「ん?どうした、サフィア?」
 私たちは足を止め、サフィアを見た。サフィアは丘と反対の方向……私たちが歩いてきた方向……をじっと見つめていた。その先には黒い影……、しかし、それほど大きくはない。誰だろう?
「そこにいるのは誰ですか?」
 こんなことを聞くのも変だとは思ったが、少し構えて叫んでみた。少しして、黒い影がだんだん近づいてきた。サクマも構える。サフィアが低く唸る。
「お前たちこそ、ここで何をしている?」
 低い声とともに姿を見せたその人は、背が高く、がっちりとした男だった。黒い髪に、紫色の眼。右手にはナックル。鋭い爪が黒い霧を引き裂きそうな感じだ。
「私たちは……丘の上にいる魔物に用があっているんです。奴に聞き出したいことがあって……」
「簡単に話ができると思うのか?」
「それは……」
「あの魔物を甘く見るな。闇属性の魔物は見たものを容赦なく殺るぞ」
「な……」
 この人は、その魔物に遭ったことがあるのか…?言葉を失う私の代わりに、サクマが口を開いた。
「あの…あなたは何者なんですか?」
「……俺にあまり関わるな。ろくなことが無い」
「え……そんな風には見えないですけど」
 男はふっ、と鼻で笑った。そして振り返り元来た方向へと帰っていく。
「あ……」
 サクマはさらに声をかけようとしたが、できなかった。
 闇属性の魔物は、見たものを容赦なく襲う。手強いのはわかっている、が、話が出来る相手なら……。わずかな望みも簡単に壊れてしまうかもしれない。でも、ダメもとで行くしか。
「……行きましょう、サクマさん」
 茫然と立ちすくんでいたサクマを呼び、私たちは丘へと進んだ。





 丘を歩くことしばし。黒い霧がだんだん濃くなってきていた。奴は近くなのか?
「サクマさん、いますか?」
 私は確認した。
「うん、いるよ。サフィアもいるし。今のところ敵の気配を感じてないっぽい」
「そうですか。ですが……急に霧が濃くなったのは何かありそうな予感がします……」
「…だよね」
 私たちは立ち止まり、構えた。足音が消え、静寂に包まれた。
 じっと耳を澄ます。少し風が吹き、草の揺れる音が妙に大きく聞こえた。風が止み、再び静かになる。無音がしばらく続いた。

 と、サフィアが唸りだした。奴が、今度こそ近くにいそうだ。
「くるよ」
 サクマが剣を手に、構えなおした。瞬間、サフィアが私の前まで走り、稲妻を放った。

 ビリビリ!

 霧を割いた。サフィアがもう一度稲妻を放つ。何かに当たったようだ。
『ぐおぉぉぉ!!』
 その「何か」が姿を現した。ずいぶん大きな獣だ。頭が2つある。片方は稲妻にひるんだのか、目を閉じ唸っている。もう片方は赤い眼を光らせてこちらを睨んでいる。
「でっかい……」
 サクマが呟く。ひるんでいる場合じゃない。
「セルシア!」
 私は「彼女」を呼び、唱えた。
「エアウィンドブロー!」
 セルシアの急降下に合わせて私は風魔法を放った。魔法を受けた鳥は、獣の頭上で大きく羽ばたいた。
 ごぉ、という音と共に、かまいたちが起きた。獣の身体に切り傷がいくつかついた。だが、獣はぐっとこらえているようだ。いや、力を溜めているようにも見える……。
「サフィア!」
 今度はサクマが叫ぶ。サフィアは雷をサクマが手にしている剣に当てる。剣が光り、バチバチと音を立てた。サクマは走り剣を大きく振った。
「おりゃぁぁぁ!!」
 剣は、目を閉じている側の首を切った。
『ぐぎょぉぉぉ!!』
 獣が態勢を崩した。目を閉じた頭が転がった。
「おぉ……」
 自分でやったことに驚くサクマ。私もゾクッとした。あの剣はいったい……?

 しばらく獣は動かなかった。しかし、まだ生きているようで、ぐるるる……と唸っている。丘の大地に奴の血が染み込んでいく。
「ウォレス、聞けるなら今じゃない?」
 私は、はっとした。そうだ、リリアの居場所を聞かなくては。しかし、話が出来る相手なのだろうか?私は悩んだ。
 悩んだのが間違いだった。奴は突然目を開け、残った首を起こし、口を開けた。黒い球体がこちらに向かって飛んできた。
「危ない!」
 私はサクマに突き飛ばされた。球体は彼に当たり、彼は吹っ飛んだ。
「ぅわぁ!」
「サクマさん!」
 サクマは地に叩きつけられた。剣が手から離れてしまった……。獣は素早く起き上がり、態勢を立て直した。そして、すぐ上にいたセルシアに飛びついた。とても素早かった。彼女は避けることが出来なかった。奴の前足がダイレクトに当たり、サクマと同様に地に叩きつけられた。
「なっ……」
 呆気に取られている場合ではない。私は立ち上がり、風魔法を放った。
「エアブロー!」
 奴には当たったが、まるで効いていないようだった。奴はこちらをキッっと睨み、また口を開いた。さっきの球体があっという間に現れ、飛んできた。
 ダメだ、早すぎて避けきれない!

 その時、横から別の黒い物体が飛んできた。それは奴が放った球体に当たり、爆発した。
「あうっ」
 爆風を受け、私は少しだけ吹っ飛ばされた。
「だから言っただろ。闇属性の魔物は見たものを容赦なく殺る、ってな」
 顔を上げると、がっちりとした体格が見えた。
「あ、あなたは……」
 男は左手で私を軽々と持ち上げ、立たせた。少しよろめいた。
「あんたの風魔法で俺を吹き飛ばせるか?」
「……はい、やってみます」

 私は風魔法を唱えた。
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